<スズメは日本にどれくらいいるのか>
日本人なら昔から雀は馴染み深い野鳥、最も身近な存在。
日本全国にどのくらいの数のスズメがいるのか。
鳥類の調査方法として、ラインセンサス法というものがあるという。
あるルートを歩き、両側で見かけた鳥類の数を数える方法で、例えば1.0kmの距離を歩き、両側各50m(幅100m)範囲に、50羽のスズメがいたら、その場合、50羽/0.1平方キロメートル(1km×0.1km)=500羽/平方キロメートルになる。
それを日本全土に拡大して解釈すると、日本の面積は377,900平方キロメートル→ 500羽/平方キロメートル×377,900 平方キロメートル=188,950,000羽つまり約2億羽となるという計算だ。
これは仮に50羽いたとしての話だが、実際1kmで50羽は多いのか少ないのか?
先ず1キロを想像し結構な距離だと感じたら、100m幅も結構広いと分かる。
ただ、もっといるような気がする。
<色づく稲とスズメ>
水田の稲穂がわずかに色づき、首も少し垂れ始め?頃、スズメの群れが現れる。
幼鳥も含め数羽の群れから、もう少し秋が進むとやがて大群になる。
雀はいわゆる稲を食べる害鳥、ただ、稲に着く害虫も食べてくれる。
そもそも人間のエゴで害鳥・益鳥と考えられスズメには関係ない。
昔、ヨーロッパでは、サクランボへの害を除くために、スズメを大々的に駆除したところ、逆に害虫が大発生してしまい、慌てて駆除を止めたとの記録もあるというから、身近な雀、近年減っている。
<雀の居場所>
結論から言うと山の中に雀はいない。
ただ、気をつけなければいけないのは、周辺の環境だろう。
水田なのか、住宅地が集まっている市街地の中なのか、それとも山の中なのか、あるいは緑地帯の無い工場地帯なのか、周囲の環境によって雀の数は大きく異なる。
水田や畑、それに民家がある里地の環境であればス多いし、市街地であれば少し減る。
山奥の森林地帯はと言うと山の中には全くと言っていいほどいない。
つまり、山道を歩いていて雀の姿が確認できれば里地に近いところまで下りきた証拠と言える。
雀は、人間のそばで生活することで外敵から守ってもらい、餌や繁殖場所を確保し、繁栄している人間生活と関係の深い鳥。
<雀の数と季節の関係>
季節によってスズメの数は変動する。
春先には親鳥しかおらず、繁殖後の夏には巣立ち雛も確認され、1つの巣からは1~5羽が巣立つが、平均的には2羽程度で、又、2回繁殖するつがいもあり、2羽の親鳥に対して2~3羽の子雀がいら事になる。
繁殖直後は親鳥2羽+2~3羽の小スズメの計4~5羽となり、春先の倍以上に。
夏~秋、冬を過ごす間に、天敵の猛禽類や猫等に食べられて、翌年の繁殖前には2羽程度になり、つまり時期により数が倍以上も大きく変動している。
<20年で半分に>
結局雀は減っていのか…
雀による農業被害、有害駆除・狩猟羽数、自然環境保全基礎調査、鳥類標識調査の四つのいずれの結果もスズメの減少が認められているという。
減少率については、算出は難しいとのこただが、1990年から2010年の20年で少なくとも約半分になっているという。
これは、20年で半分→かなりショックな結果ではないだろうか。
減った理由は、最近の民家は密閉性が良いため、巣を造りにくい構造になっており、併せて餌場も少なくなったのが、大きな要因になっている。
言わば、雀の世界も日本と同じように少子化が進行しているのと変わりない。
<まとめ>
明らかに雀の減少を知り、近年顕著になってきたドンコ悟り、今後の影響がとても気になる。
彼らが減ることで、害虫が増え、逆に雀を餌にしている猛禽類が減る。
となると生態が似てるシジュウカラは、増えた害虫を餌にして増え、シジュウカラが増えれば、雀を餌にしていた猛禽類がシジュカラを沢山食べる様になり、雀では無くシジュウカラの群れが飛び回る事態になるのだろうか。
結局、雀に限らず生物多様性が保たれないと総じてバランスは崩れ、次第に絶滅するのではないか。
【野鳥観察】