年中観られる野鳥ヒヨドリは、冬の間は特に、けたたましく鳴きながらヒヨドリ仲間で空中バトルを繰り返す姿をよく見る。
ヒヨドリの特徴をまとめて見た。
<特徴1>
市街地で繁殖するようになったのは最近のこと。
今でこそヒヨドリは都心部でも一年中観察できるありふれた鳥だが、以前は秋から冬に見られる鳥(漂鳥)だった。
そして春から夏にも生息し、子育てもする留鳥へと変化した様だ。
本来は平地から山地の林に生息するが、少しずつ市街地から農耕地へと広がって行き、都会でも生息場所を見つけたが、分布が広がった経緯については良く分かってないという。
ヒヨドリは植物の実、花の蜜、昆虫、そしてパンなどの人口食品など、何でも食べる雑食性の鳥。
食べ物が豊富な街中に少しずつ増えてきたのかも知れない。
<特徴2>
優れた飛行能力をもっている。
波状飛行(バウンディングフライト)と呼ばれる飛び方ができる上、空中で止まる停空飛翔(ホバリング)もできる優れた飛行能力を持つ。
波状飛行とは、短く羽ばたいて上昇した後、翼を畳んで滑空する飛び方で、雀の様なパタパタ羽を上下に動かす直線飛行に比べると、消費エネ量が少なのが特徴。
ホバリングは、止まりにくい木の枝についた実を空中キャッチすることができる素晴らしい能力。
ハチドリの様にピタッと空中停止するわけでは無いが、その小さい体と比較すれば、見事な空中技。
この優れた飛行能力は、集団で移動する「渡り」のに役立ち、ヒヨドリの渡りは津軽海峡の龍飛岬、愛知県の伊良湖岬、鹿児島県の佐多岬などが有名。
どれもヒヨドリにとっては命がけの飛行。
途中で命を落とす個体も少なくない。
タカの渡りで有名な愛知県の伊良湖岬では毎年秋、一日1万羽以上のヒヨドリが海面を渡る姿を観察出来るらしい。
ハヤブサなどに捕食されないよう、海面すれすれに集団で飛ぶ姿を、昔の人は「龍の渡り」と名付けて見守って来たという。
長く集団で飛ぶ姿は圧巻らしい。
<特徴3>
個体の違いが識別しやすい。
ヒヨドリの英語名は「Brown-eared Bulbul」で、顔の両側に茶色い耳のような羽が特徴的。
逆光では黒っぽく見える全身も、よく見ると美しいグレー。
頭部の冠羽状の羽がやんちゃな腕白坊主らしい愛らしく思える、よく見れば可愛い野鳥。
ヒヨという鳴き声が名前の由来で、ヒヨヒヨと鳴く以外、繁殖期になると、いろいろな鳴き方をして、楽しませてくれる。
ヒヨドリはパートナーを獲得するために、辺りに美しい音色を響かせ、「ヒーヨ、ヒーヨ」といった高い声でさえずり、メスにアピールする。
この美しいメロディーを聞く事が出来るのは、オスがパートナーを獲得するために活動する期間限定。つまり春から夏にかけて主な時期だと言える。
秋から冬にかけては、オスは地鳴きという普段の鳴き声になる。
メスはさえずりを行う事は無く、年間を通して地鳴きの為、それほど大きな違いは見られない。
さえずりとは全く異なり、音色は美しいものであるとは限らない、聞く人によって異なるが、「ピーピーピッ」や「ピッピッピッ」と聞こえる。
特に危険が迫ってきている場合、金切り声の様な鋭い声をあげて周囲に注意をするように促す。
ヒヨドリの巣は幸運の証という言い伝えがあり、一般的に春から夏にかけて、求愛し、子どもを産み育てる時期だと言われている。
<ヒヨドリの暮らし>
ヒヨドリは、ごく普通の公園や庭にある枝の多い高木の枝の股に巣を作る様だ。
人間の目が届く場所に作る事もあるそうで、殆どの場合、直接手を出さなければ動じず、怯えたり逃げたりしないそうだ。
ヒヨドリの冬の食べ物は、雑食の鳥だが木の実や果実が主食。
ヒナの成長期には、昆虫が主食で大人になるにつれて主食が木の実や果実に変わっていく様だ。
大人のヒヨドリの場合は、「春と夏」と「秋と冬」では多少、食べ物に違いがあり、繁殖の準備の為、木の実や果実に加えて、この時期だけは昆虫も食べる様だ。
秋と冬は、主食の木の実や果実に加えて、花の蜜も吸う様だ。
木の実は、赤や黄色など色の目立つ木の実を丸呑みする。
果実は、ミカンやリンゴ、柿などを好み、人間の飲み残しのジュースも飲むそうだ。
花は、椿や梅などの密を吸う。
丸呑みされた木の実は、ヒヨドリを利用して増殖のチャンスを広げる。
<まとめ>
季節によってヒヨドリの行動パターンが決まっており、鳴き声も変化するとはとても意外だった。
忙しい毎日の中で、少し耳を傾けてみるとホッと安らぐ癒しの時間を提供してくれる。
本来、渡り鳥だったが留鳥になり、留鳥になったヒヨドリは人間の目に触れる場所で違和感なく暮らしているという事。
冬は意外にも花の密を吸うので、顔中に花粉をつけたヒヨドリは、愛鳥家にとっての最高のシーンの1つだろう。
【ヒヨドリ】動画 https://youtu.be/JlEZGChI3bQ