<マナー違反の横行>
この近年、山のトイレはマナー違反横行しており、登山者のモラルが問われている。
晴れた日には大阪平野が見渡せる金剛山の山頂。
国土の約7割が山地や丘陵地とされる日本。
山の豊かさは海の豊かさにもつながり、様々な保全の取り組みが必要だ。
その一つとして、登山でのマナー向上も山を守るために不可欠だが課題も多いという。
3月下旬、大阪府山岳連盟が大阪・奈良の府県境の金剛山(1125メートル)で行った「清掃登山」という活動が存在するその現状を探った。
<人気の山>
文字通り、山を清掃しながら登る清掃登山。
約40人が参加したという。
東の高尾山(東京都)、西の金剛山といわれるほど人気の山で関西で広く親しまれている様だ。
金剛山は、関西の主要都市から近く、1年を通して楽しめることが人気の理由という。
代表的な登山ルートの一つ「念仏坂」から登り、ごみを拾い、ルートや周辺の環境に変化がないかも確認したそうだ。
途中、赤っぽい色の不自然なマークの入った木々が現れ、いつだれが書いたかは不明だが、道の方向を示す意味で書かれたと考えられるという。
道に迷わないよう善意なのかもしれないが、初心者などは誘導されて迷ってしまう可能性があり、個人の思いだけで行うのはやめるべきだという。
<登山道での問題>
登山道では別の問題もある。
金剛山には念仏坂など3つの代表的なルートがあり、府が管理。
破損などがあった場合は修復される。
ただ、登山道は他にもあり、登山者たちが独自に開拓した「勝手道」といわれる存在だ。
近道として、また新たなルートとして愛好家が通り出し、自然と道のようになり、山肌には、落ち葉が踏み固められる形で一筋の道が出来ている。
ただこれは、新たな道に多くの人が踏み入れることで動植物など環境に影響を与えると指摘され、又、初心者が迷い込むと遭難や事故につながる危険もある。
金剛山には100以上の「勝手道」があるといい、勝手道が全て悪いわけではないが、環境面や他の登山者への影響も知っておくべきだという。
<トイレ問題>
山頂付近では、実はトイレの利用マナーが問題となっている。
例えば金剛山のトイレは、山頂にある葛木神社の土地に奈良県が設置。
維持管理は同神社と崇敬団体「金剛練成会」、売店が担っている。
タンクにたまった屎尿の運搬など毎年百数十万円の管理費も負担しているそうだ。
同神社などによると、水の凍結を防ぐヒーターの設定温度を利用者が勝手に変更し故障につながったり、電気代が余分にかかったりする事例が出ており、同連盟などによると、一部の登山者がぬれた衣服を乾かすために設定温度を変更するなど、本来想定されていない使い方を行っているとみられるという。
葛城裕宮司は、金剛山は信仰の対象にもなってきた場所、人としての振る舞いを考えてほしいと訴えている。
<まとめ>
トイレのマナーは他地域でも問題となっており、兵庫県内のあるハイキングコース近くにある寺は、約15年前に新しいトイレを設置、ハイキング利用者が使えるよう、善意で設置したが、寺の関係者によと、善良な使用感は無く期待は裏切られ、トイレを汚してもそのまま、トイレットペーパーが持ち去られたり、便器の水を流すボタンを壊したりして水が流れ続けたこともあったという。
再三、注意喚起してきたが、人手も限られることから昨年秋に閉鎖を決めた。
閉鎖後も登山者から、何故閉鎖したのかとクレームを受けることもあったが、寺の関係者は、何故こうなったのか考えてほしいと残念がった。
登山ルートのトイレは、地元の有志などがボランティアで整備している例が多いのだから、自分の行動が山や自然にどう影響するのかという視点を持つことが大切ではないか。
【里山散策】https://youtu.be/-KGH6PJh-B0?si=7Hfwh6wRUPp3AqS7