自然派まさべえ

隙間時間を大切にしています。自然散策が好きです。

「ウナギは食べ過ぎない方が良い?」

<ウナギを食べ過ぎると絶滅する?>

ウナギは食べ過ぎると絶滅するらしいが、結局食べていいのか…

昔から日本人に愛されて来たウナギ。

タレの香ばしい香りが食欲をそそり待つ時間すらも乙で楽しいと思わせるほどに美味いのがウナギという存在。

ウナギの蒲焼きは江戸時代に登場したらしいが、奈良時代に編纂された万葉集に夏バテにウナギが良いと薦めている一首がある。

土用の丑の日に美味いウナギを食べようと思ったら、高級な鰻屋は敷居が高い。

でも最近はチェーン店の定食屋やコンビニエンスストアのメニューにも、うな重は並んでいる。

<これだけの流通なら大漁なのか?>

実は、ニホンウナギ環境省国際自然保護連合(以下、IUCN)で絶滅危惧種に区分されており、ニホンウナギだけでなく、ヨーロッパウナギアメリカウナギも同様、世界中でウナギは絶滅の危機が危惧されている。

これを知ってしまうと誰もが持つであろう「食べていいのか、ダメなのか、どっちなんだ?」という疑問も浮上する。

<問題は個人の倫理観>

絶滅危惧種だからといって、ウナギを食べることを制限する規則は存在しない為「食べていいのか、いけないのか」という問題は個人の倫理観にしたがって決定するもの。

しかし、その決定を行う際に基礎となる知識が必要になってくる。

IUCNのレッドリストによる絶滅の危険度は

「深刻な危機(CriticallyEndangered,CR)」

「危機(Endangered,EN)」

「危急(Vulnerable,VU)」

の3つのカテゴリが「絶滅危惧種」とされている。

ニホンウナギの場合は、身近な河川や沿岸部にも生息する生き物だが、急激に減少している。

2014年に発表されたIUCNのレッドリストでは、2番目に危険度の高い「危機」に区分された。

では、ニホンウナギを食べるのは、同じ絶滅危惧種の「危機」に区分されているトキを食べるのと同じかというとそうではない。

絶滅危惧種は、大きく2種類にわけることができ、圧倒的に数が少ない希少な生き物と、急激に減少している生き物だ。

ニホンウナギは数は多いが急激に減少していて、現在は減少を止めるための適切な管理が行われていない。

つまり、このままでは絶滅してしまう可能性があるという事になる。

私の見解としては、食べる量を抑制するとともに、ニホンウナギが健全に成育できる環境を取り戻す必要があると考える。

<消費と産卵のスピード>

人間が食べて消費するスピードが、生物が子どもを産んで増えるスピードを超えてしまうと数は減少してしまう。

ニホンウナギが減少しているということは、消費のスピードが、ニホンウナギが増えるスピードを超えているということ。

つまり、食べる量を抑制するとともに、ニホンウナギが健全に成育できる環境を取り戻す必要がある。

ニホンウナギの完全養殖は研究所の実験で成功しているものの、莫大な費用がかかるため、商業的な利用にはまだ時間を要する。

流通している全ての養殖ウナギは、海洋の産卵場で孵化した卵から産まれた子どものウナギ(シラスウナギ)が沿岸域までたどり着いたところで捕獲され、養殖場で大きくなったもの。

シラスウナギの捕獲は各都道府県で管理され、およそ20cm以下のウナギの捕獲は禁じられており、全長約6cmのシラスウナギはその規制対象に含まれている。

養殖のためのシラスウナギ捕獲には、都道府県知事の特別採捕許可を受ける必要がある。

しかし現状では、無許可で行う密漁、許可を受けた漁業者の過少報告(無報告漁獲)などの違法行為により、半数程度が不適切に流通している。

更に、国外で漁獲されたシラスウナギが輸入される際も、原産国から密輸されている可能性が高いと考えられている。

シラスウナギが高値で取引されるため、密漁や密輸・無報告漁獲が発生するわけですが、それによって現在では、シラスウナギの漁獲実態が掴めなくなっています。ニホンウナギの正確な数字が掴めなくなっているため、持続可能な消費限度を設定することが難しくなっている。

<調査で捕獲されたニホンウナギ
ひとりの個人の力は大きくはないが、たくさんの声が集まれば、産業界や政治に対して影響を与えることができる。

ウナギを食べられる未来、違法行為の関わったウナギを食べたくないと、ウナギ関連の業界や政治の世界に対して届けることで、状況は変わっていくと期待する。

現状では、消費を削減するべきだ。

それと同時に環境を回復していく努力も重要。

だが、環境の回復には時間がかかってしまう。

消費削減は即効性が期待できると考える。

では、消費量を削減するために、消費者にどう意識を持ってもらったらいいのでしょうか。ヨーロッパやアメリカの場合は、NGO(非政府組織)の国や企業に対する訴求力が強く、その根本にあるのは消費者、一般市民の環境やサスティナビリティに対する考え方がある。

逆に日本はNGOの力が弱く、企業や政治に対しプレッシャーをかけることが難しい状況だ。

<人間がウナギに与えている悪影響>
数十年前には、当たり前に河川や田んぼにたくさんのウナギが生活していた。

ウナギをこれからも食べることができるようにするには、今の状況から、この当たり前の状態に戻す必要がある。

ウナギの数が減少しているのは何故かというと、人間がウナギに悪影響を与えているからで、人間が悪影響を与えているからウナギが減っているのなら、その悪影響をなるべく減らしてあげることが、まずは必要だ。

人間がウナギに与えている悪影響とは、過剰に獲って食べることや環境を改変していること。

しかし、状態を戻すときに、人間の経済活動とどうバランスを取るのかが非常に重要。

このバランスの問題を解決するための具体的な解は、現在のところ分かっていない。

ウナギは海で生まれ川で育つので、ウナギがストレスなく行き来できる環境が必要。

これまでは河口堰やダムなどが遡上を妨げていた。しかし、新しい技術や知識を使うことで、今までになかった解決法が出てくる可能性は十分にある。

<まとめ>

日本においてウナギは、異常なくらい注目される。海外の研究者が日本に来ると、本当にビックリするという。

ウナギは、それだけ注目を集める生き物。

ウナギの量を増やすというだけでなく、ウナギをひとつのきっかけとして、地球全体のこと、人々と地球環境のことを合わせて考えていくことが大切なのではないかと思う。

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